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やわらかい手

毎月1日は映画の日なんですよねえ。レディースデーばっか気にかけてたんですが、今回ふと気づき、初めて1日に行くということをしてみました。なんにせよ1000円は安い。

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<リンク:http://www.irina-palm.jp/>やわらかい手(公式サイト)

原題は<Irina Palm>。「手のひらイリーナ」という意味で、主人公の、内緒の仕事での源氏名です。


イギリスの田舎に住む平凡な中年主婦のマギー。彼女の愛しい孫は重い病気に侵されており、最後の望みはドイツでの治療にかけるのみ。しかしすでにかかった治療費のために持ち家も抵当に入れた彼女には、孫と息子夫婦を渡航させる費用がない。若さもスキルも経験もない彼女にたった一つ、可能性のある仕事が、小さな穴越しに男性客を手だけで満足させる風俗業だけ・・・


「心温まる」とか「コメディタッチ」と時々紹介されていますが、そんなことはありません。
確かにこれがハリウッド映画なら、選択肢のない彼女が就く風俗業をスパイスに、笑って泣いての”ハートフルコメディ”に仕上げるのでしょうが、しかしこの作品はイギリス映画らしく、静かに重々しくまじめに進む映画です。確かに時折笑いもまぜこまれますが、それは狙った笑いではなく、真剣な人生の中に偶発的に生まれる笑い、といった感じです。
主人公の勤務先は確かに刺激的でやや滑稽ですらある場所ですが、しかし実際、長年”勤勉な主婦”で生きてきた女性が、中年になってからお金を稼げる仕事はこれしかないといいうのが”現実”だと思います。この設定は観客の関心を引くためのものというより、”現実的な設定”なのだと思いました。

この映画のマギーの描き方のすばらしいところは、なにがあってもけして「スレた女にならない」所だと思います。多くを語らず、まじめで、一生懸命で、純情。マギーはなぜ自分が風俗業をするのか、その理由を人に話しません。誰のことも責めず、言い訳もせず、ただただ、孫のために自分にできることをするのです。それは愛情とか思いやりとかいう以上に、「本能」に突き動かされてるゆえの行動だと思います。

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今はすっかり太ってしまったマリアンヌ・フェイスフルですが、それだけに田舎の純情な主婦を見事に演じてします。<接客業>が<風俗業>だと知ったときのうろたえ方の愛らしさ、おどおどと足早に店に入る気弱な後姿、そしてふと見せる、挑むように相手を見るときの目の輝き。
彼女の手の魅力を見初め雇い入れる風俗店のオーナー、ニキがまた魅力的です。おおよそ人生の裏舞台ばかり見てきたような風貌なのに、妙に少年っぽいかわいらしさがにじみ出ています。どこか頼りなさげな若い父親であるマギーの息子、マギーといまいち折り合いの悪い嫁、そしておばあちゃんっ子のかわいい孫。みなそれぞれにぴったりの俳優さんです。

涙が勝手に出てくる映画です。そしてラストが本当に素敵です。うんうん、ああもう、それで充分よね、と思えるエンディング。
原題もいいですが、邦題もいいと思います。「やわらかい手」、それは男性客にとってのイリーナ・パルムの手なのでありましょうけれど、マギーにとってそれは何物にも変えがたい、絶対に守りたい、おさない孫のやわらかい手なのでしょう。
何度でも見たいと思わせる映画でした。超オススメです。

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