スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「ラースと、その彼女」と「快楽殺人の心理~FBI心理分析官のノート」

lars2.jpg
ラースと、その彼女

<引っ込み思案でおとなしいラースが連れてきた"恋人"は、等身大のリアル・ドールだった->

という設定を読んだ瞬間、これは絶対見たい!と思った映画です。
だって、メッチャ身につまされる設定なんだもん!!

ラースは27歳の男性。兄夫婦の離れに住み、仕事もちゃんとしてるし、教会にも行きます。
近所のオバサンが困ってたら手を貸すし、性格が穏やかだからか、「ミスター・サンシャイン」なんてあだ名も付けられてる。
でも恋人がいない。いないだけじゃなく、付き合おうともしない。
心配する兄嫁。ようやく恋人が出来た、と嬉しそうに話す義弟の笑顔を見たと思ったら、その"彼女"は車椅子に座った、リアルドール!

リアルドールにビアンカという名前を付け、生きた恋人であるかのように接するラース。
会話もするし、世話も焼くし、デートもする・・・・

うおおおお!なんか脳内に住む自分の姿を見るようで怖い!痛い!痛いよ自分が!!

lars4_convert_20090219212342.jpg

人間関係を築くのが苦手なラースが選んだのは、リアル・ドール。
ビアンカと名づけた美しい人形に、語りかけ、会話を楽しみ、
やさしく面倒を見て、彼女の境遇を理解してやる。
しかそれはすべて自分に都合のいい、自分に主導権のある会話であり、
拒絶されることのない、一方通行な感情です。
フツウはこういう想像上のの恋人は、妄想の中で存在するものですが、
この映画のビアンカは、観客にわかりやすいように具現化された存在です。
引っ込み思案で大人しいラースだけど、ビアンカの設定は詳細で、いかにも、なタイプで(笑)
ブラジルから来た元宣教師(貞淑さの象徴)
「デンマークとブラジルとのハーフ」(日常から少し離れた、謎めいた魅力)
少し身体を悪くしており(男性の思いやりと庇護が必要)
エキゾチックな美貌と、セクシーなナイスバディ!(いやマ、そういう目的の人形ですから本来・・・)
この完璧な魅力を備えた、しかし妄想上の恋人を、街のひとは奇異に思いながらも、ラースの病気を治すため、ビアンカを生きた人間として接します。
教会、パーティ、ボランティア活動。
いやー正直アタシなら、リアルドールを連れてる男がいたら見てみぬふりです。子供には「近寄っちゃいけません」って言います(^^;
ご近所さんたちのなんとやさしいこと。こんな町があるならアタシも住みたい。
ほのぼのした心あたたたまる映画、と評されてるようですが、心温まるのはこういう、町の人たちの、ラースに対するやさしい接し方を見れば、です。ラース本人は心に傷を持ってるとはいえ、兄夫婦やこういうご近所さんたちの"心づくし"に気づかない。皆が自分のために心を尽くしてくれているとは考え付かない。
自分の傷を治せないままのラースと、その傷を理解できなくても、見守っていこうとするご近所さんたち。
そしてこのご近所さんたちの愛情と思いやりある行動が、ラースとビアンカを引き離す"力"になったのだと思います。

もっとコメディっぽいのかと思ったけど、そうではなく、すごく静かなドラマでした。
ラースもだけど、妊娠中のお義姉さん(妊娠中なので母性愛がでまくっちゃって、ラースのことが心配なのかなあって感じだった・笑)、お兄さん、ラースの同僚、教会のオバチャンたち、ラースに思いを寄せる女性、そしてビアンカ、みな役柄にピッタリでハマってました。
ビアンカは、人形なのに、後半、場面場面に合った表情をしてるようですごく不思議でした。光のあて具合とか、角度によるものでしょうか。あるいはラースが感じてる表情を、わたしも見てしまってるということでしょうか。

***

リアルドールに話しかける、幸せそうなラースを見ながら、ワタシのアタマの中に浮かんでたのは、
「快楽殺人の心理~FBI心理分析官のノート」という本です。
「羊たちの沈黙」で有名になったロバート・レスラー氏の書いたプロファイリングについての本です。発行当時話題になったので既に読まれた方も多いと思うんですが(アタシは最近ブック*フで100円で買いました)

k1.gif

快楽殺人の犯人が、実際殺人を犯すまでに、彼らが長い期間の間、自分が最も望む快楽を題材とした白昼夢に耽ってるという点が非常に重要である、ということが繰り返し書かれてまして、
うえええええ!白昼夢って要は妄想ってことでしょ?ヤバい!あたしもヤバいんじゃないの?!
しかしわたしもラースも、ありえない相手に妄想したりはするけど、他人を殺したりしないし、殺したいとも思いません。
この違いはなんなのでしょう。妄想することでとりあえず処理できる感情とか悩みってあると思うんですよね。その方法が健全とは言い切れないかもだけど、必ずしも悪い方向に、でもないと思う。
でも、人を殺すことが快楽、というか、人を殺さなければ快楽にならない、ってのはどういう心の働きなんだろうなあ。。。
そういえば、宮部みゆきさんの小説「模倣犯」に、「本当に恐ろしいのは、殺人が行われた場所ではなく、犯人が長い間殺人を夢想し続けて暮らしていた部屋こそが恐ろしいのです」と言うことが書かれていたんですが(正確な文章ではありません。あたしの記憶です)、それを読んだときも、ああああああ、なるほどなあ、人間の想念て恐ろしいもんなぁ、とすごく納得したんですが、これはレスラー氏が言う、実行前の長期間の白昼夢についてと、同じことといえるんじゃないでしょうか。

上記の本読み終わって次ぎ読んでるのが、同じくロバート・レスラー氏の「FBI心理分析官」なんスけど、この本の冒頭に、レスラーさん自身が肝に留めてる言葉として、

<怪物と戦う者は、その家庭で自分自身も怪物になることがないよう、気をつけねばならない。深淵をのぞきこむとき、その深淵もこちらを見つめているのだ>

という、「ツァラトゥストラはかく語りき」の一文が書かれてまして、ああなるほどなあと思いました。
興味がある対象って、自分からかけ離れてるように思ってても、同じ何かをきっと持ってるってことなんだと思うんですよね。だからこそ興味を持つわけで。そこを認めてからかからないと、引きずり込まれちゃうことって多いだろうなあって思います。
この映画に興味を持ったのも、もちろんわたしがラースと同じような方向性を持ってるから。まあそこは重々承知ですが(笑)、こういう異常犯罪についての本を読みたがるジブン、てのもどっかアレな部分があるのかなあ。。。
こういう"深淵"って、いろんな場面に潜んでる気がします。オレオレ詐欺に引っかかる人とか、わが子を殺しちゃう人とかのニュースを見ても、「バカだなあ」とは言えないんですよね。もしかしたら自分だってやっちゃうかもしれない。もっと広い意味で、他人の失敗とか、あるいは驕りたかぶりでも、どんなマイナスなことも、自分が当事者にならない可能性はまるでないとは言い切れないし、「バカだなあ」なんていい気になったり、他人の不幸を拠点に安心したりすると、"深淵"から手痛いしっぺ返しがきそうな気がするんですよ。怖いんです。強迫観念とまでは行かないけど、いつも気になっちゃうトコです。

・・・なにを書いてるのかわからなくなってきました。まあこういうことを一度書いて残したかったんです。それだけです。おわり(笑)

テーマ: 映画感想 - ジャンル: 映画

Comment

tallulah #FrUoCQUQ

お忙しい中コメントいただいたのに、お返事遅くなり申し訳ありませんv-356
ハタ皇子お褒めいただきありがとうございます(笑)
大阪ハムレット、原作ファンには若干ビミョーな部分を感じてしまいました。原作未読で大阪人でなければ、全面的に楽しめる映画だと思います。なんだか褒めてるんだかそうでないんだかわからねぇな(^^;

>私もさあ~「痛い!痛いよお母さん!」て娘に言われちゃうタイプの人だからさ(笑)

わたしは娘の前ではいろんなことを隠しており(家族の前ではキンクスを聞かない&レイの話はしない)、ダンナはそもそも「オタク」の気持ちを理解できないヒトなので(人間的に非常にツマラナイと思うのですが)、指摘されることはないのですが、自分でよ~っくわかってるので、ラースの姿がそのまんま自分自身で、大変痛かったですv-356

>この「周囲が温かく見守ってる」って設定は、大阪ハムレットにも通じるところがありますね。

悩みを抱く人にとっては、こういう境遇が一番大事なのかもしれないですね。「ラース」を見て、「思いやりというのは、閉じた扉を自然に開かせられるものなのだなあ」となんだかすごく素直に思ってしまいました。こういう思いやり深い人がいる町に住みたいと思うのですが、それよりも、自分がこういう思いやりを持った人間にならねばならないんですよね。

>自分の中の異常性と付き合うことが人生なのではとさえ考えてしまいます。

なるほど。深いです。
あたりまえでないものを愛せるというのはそんなに悪いことじゃないと思うし、異常なものに興味を持つのも悪いことばっかじゃないと思うんですが、
でもそんなことに興味を感じることよりも、その異常性を批判するだとか、被害者に同情するとか、やっぱそっちのほうが断然重要だし、それだけでいいんじゃないかってのも思うんですよねぇ。自分でも。でも興味を持ってしまう。なんか人間的にダメなんじゃないのって自分で思っちゃうんですよねぇ。。。

>犯罪さえ起こせないトシになったら「ノーフューチャー苑」で思いっきりハジけましょう(笑)

そうですね。犯罪は、ココロの奥底で、レイを押し倒す、とか、そういうことだけにしておきます。老いてますます盛んな妄想を目指したい(笑)

2009/02/23 (Mon) | URL | 編集

ショコポチ #R2jU64p2

へもちゃんのハタ皇子にも(サイコー!)『大阪ハムレット』にも(観る前からすっごくタルちゃんに共感!)ぜひぜひコメントしたいところなのですが、時間に追われているのでまとめてこちらで。
この映画は私も気になってました。私もさあ~「痛い!痛いよお母さん!」て娘に言われちゃうタイプの人だからさ(笑)他人事ではなんですよね…
この「周囲が温かく見守ってる」って設定は、大阪ハムレットにも通じるところがありますね。

そしてやっぱり、マイノリティとか犯罪とか、深淵を覗き込むことのリスクって私も常々感じてます。とくに、ロックでもメジャーでないものを好んじゃうような人間は田舎では異常者でしたし(笑)いや真剣に、自分の中の異常性と付き合うことが人生なのではとさえ考えてしまいます。
まあなんとかそのへんを飼い慣らして、犯罪さえ起こせないトシになったら「ノーフューチャー苑」で思いっきりハジけましょう(笑)

2009/02/20 (Fri) | URL | 編集

Post comment

Secret

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。